230806 ドミニカ共和国 日本人移民に補償金 1950年代 農地割り当てず

Category : 政治
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'23/08/06の朝刊記事から

ドミニカ共和国 日本人移民に補償金
 1950年代 農地割り当てず


 戦後の移民政策で中米ドミニカ共和国に移住した日本人に対し、ドミニカ政府が、事前に約束した農地を割り当てなかった責任を認め、1世帯あたり日本円で2000万円超の補償金の支払いを進めていることがわかった。
ドミニカ移民を巡っては、日本政府が2006年に移住を推進した責任を認めている。
外務省によると、中南米への移住で受け入れ国側が金銭補償に応じるのは初めて。

 ドミニカへの移住は、敗戦後の急激な人口増加を懸念した日本政府が推進し、1956〜59年に249世帯1319人が移住した。
ドミニカ政府は各世帯に100〜300タレア(6〜18ヘクタール)の耕地を引き渡すことを約束したとされるが、土地は与えられず、生活は過酷を極めた。

 ドミニカ政府によると、補償はドミニカ国内に定住し、これまでにドミニカ政府から代替地などの補償を受けていない45世帯が対象。
補償額は844万4444.44ドミニカペソ(約2105万円)で、2022年2月から支払いが始まった。
対象から外れた42世帯についても審査をして基準を満たせば補償に応じるという。

 ドミニカ移民を巡っては、移住者の一部が損害賠償を求めて日本政府を提訴。
東京地裁は2006年、損害賠償請求権が消える「除斥期間」が過ぎたとして請求は棄却したが、国側の不法行為責任を認めた。
判決を受けて当時の小泉首相がおわびの談話を発表し、一時金として1人最大200万円を支給した。(ドミニカ共和国西部ダハボン、 大月美佳)




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移民 苦難の67年
 ドミニカ共和国

「カリブの楽園」電気ない密林


 「カリブの楽園」の宣伝を信じて海を渡り、苦しい生活を強いられたドミニカ移民に対し、日本政府に続いてドミニカ共和国も公式に責任を認め、保証を開始した。
移住開始から67年。厳しい生活を強いられてきた人たちの表情には苦労がにじんでいた。 (ドミニカ共和国ダハボン大月美佳)

補償「ようやく」

◾️土地与えられず


 「ようやく納得することができた」
 ドミニカ政府からの補償金を受け取った向井たかしさん(76)は感慨深げに話した。

 山口県岩国市出身の向井さんがドミニカに移住したのは1958年。
当時10歳だった向井さんは祖母、両親、弟妹と計7人で、南部のアグアネグラに移住した。
「ひと稼ぎして8年後には帰国できる。農地はドミニカ政府が買い上げる」との日本政府の宣伝を信じた父親は自宅と土地を売却。
向井さんは中学校までの教科書一式を持って海を渡った。

 しかし「カリブの楽園」との触れ込みとは異なり、入植した地は電気も引かれていないジャングルの中だった。
水道もなく、水は川までくみに行った。

 約束された土地は数か月待っても与えられず、移住地から1キロメートルほど離れた場所を開墾し、コーヒーやトウモロコシを植えた。
水がなく生育は雨任せで、思うように育たなかった。
生活は困窮し、衣服を売って米を買った。

 しばらくして一家は知人を頼り、ハイチとの国境の町・西武ダハボンに移ったが、巨大なサボテンが生えた土地は耕作が十分にできるような土壌ではなく、建設労働者として働いた。
結局、引き渡すと約束された農地のうち配分されたのは1割に満たず、それも所有権ではなく、耕作権だった。

 長男の向井さんは働き手として家族に頼りにされ、学校には通えなかった。
「実情がわかっていたら来ていなかった。日本にいたら学校に通い、好きな本を好きな時に買えたかもしれない」。
そう想像せずにはいられなかった。


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◾️祖国日本を提訴

 ドミニカに渡った日本人は8か所に住んだが、募集要項に記されていた土地は与えられなかった。
移住者は日本大使館や日本海外協会連合会(現・国際協力機構、JICA)に陳情を続けた。

 ドミニカ日系人協会の嶽釜たけがま徹会長(85)の父親もその1人だ。
1987年、死の床で父から「自分たちが解決できなかったのは残念だが、後を頼む」と託された。

 嶽釜さんは、日本政府がなぜ、でたらめの宣伝でドミニカへの移住を推進したのか真相を解明するため資料や証言を集めた。
日本では「棄民」のように扱われ、なかなか取り合ってもらえなかった。

 解決策を示そうとしない日本政府に対し、1999年、損害賠償を求めて提訴することを決めた。
高齢の移民らは「祖国を訴えるなんて」と涙を流しながら、委任状に署名した。
訴訟に反対する人たちもおり、ドミニカの日系社会は分断された。

 2006年6月、東京地裁は日本政府の責任を初めて認めたが、賠償請求は棄却された。
控訴したが、日本政府の謝罪を条件に取り下げた。
しかし、「日本政府に移民ではなく、棄民として扱われた」という不信感は消えなかった。

 ドミニカの外相は21年7月、日本人移住65周年の式典で初めて謝罪し、同10月に補償を定める大統領令が発令された。
この動きについて、ドミニカ政府、日本政府から報道向けの発表はなかった。

 関係者は「控えめに済ませようという暗黙の了解があった」という。

 「諦めずに交渉し続けてよかった。今となってはドミニカの人たちには感謝の言葉しかない」。
嶽釜さんはそう語った。





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230608 マイナ保険証の解説

Category : 政治
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'23/06/08の朝刊記事から

 マイナ保険証の解説

病院に行かなくても、スマートフォンやパソコンからログインできる専用サイト「マイナポータル」で、21年9月以降に処方された薬(過去3年分)や22年6月以降の受診履歴などを確認することが可能だ。
過去1年分の医療費も把握でき、医療費控除を受ける確定申告の手続きも効率化される。




パソコンから「マイナポータル」にログインするには、
1 ICカードリーダーライターでマイナンバーカードの読み取りをする
2 スマホアプリでマイナンバーカードの読み取りをする
3 マイナンバーカードをスマホに搭載して利用する

の、三つの方法しかないので、ICカードリーダーライターかスマートホンがなければパソコンでマイナーポータルは利用できない。
私は、スマートフォンを持っていないので利用できません。



221218 「戦える自衛隊」へ脱皮

Category : 政治
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'22/12/18の朝刊記事から

「戦える自衛隊」へ脱皮

展望
 ㊤

 目標期限は2027年度ー。
16日に閣議決定された国家安全保障戦略と国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書では、5年後までの防衛力強化に力点を置き、「27年」が随所に登場する。
今後の5年間は、計画期間の単位以上の意味を持つ。

 27年は、中国の習近平政権が3期目の集大成を図る年であり、中国人民解放軍「建軍100年」の節目でもある。
安保専門家の間では、この年までに中国が台湾の武力統一に乗り出す可能性があるとの分析が広がる。

 国家安保戦略は、ウクライナ侵略のような事態が「東アジアにおいて発生する可能性は排除されない」と警鐘を鳴らした。

 岸田首相は5日、首相官邸に浜田防衛相と鈴木財務相を呼び、防衛費を大幅に増やし、5年間で約43兆円とする政治決断を伝えた。
 首相は「安保環境が激変している。必要な装備や体制を早急に整えてほしい」と念を押した。




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 自衛隊は長らく、憲法や対国内総生産(GDP)比1%程度という予算の制約から、「戦力」以下であるよう迫られてきた。
27年度には防衛費と関係費を合わせてGDP比2%とし、相手に侵攻をためらわせる「戦える組織」への脱皮を図る。

 最大の柱が、戦後一貫して政策判断で見送ってきた反撃能力の保有だ。
攻撃すれば反撃されると想起させてこそ、抑止は機能する。
首相は、反撃手段を確実に得るため、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入も決断した。
11月13日の日米首脳会談では、バイデン大統領から優先的に取り組む約束を取り付けた。

 継戦能力を高める「持続性・強靭性」の5年間の関連予算は現行の2.5倍の約15兆円に増やす。
弾薬・ミサイル不足という致命的欠陥を解消し、部品不足などで5割強とされる装備品の可動率を高める。




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 脅威に正面から対処できる予算規模を初めて手にする防衛省・自衛隊は、これまでにない責務を負う。
これまでは「予算執行がずさん」との批判もあっただけに、「費用対効果」や開発計画などの目標到達に関する徹底した検証が不可欠となる。
浜田氏は今月16日、省内で幹部に「今後、真価が問われる」と呼びかけた。

 防衛力は、外交力を高める手段でもある。
「力に頼る専制国家は、力のない国とは対話もしない」(外務省幹部)のが国際政治の現実だ。
首相には、強化する防衛力を支えとした、したたかな外交のかじ取りが求められる。




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 かつて日本は、国際情勢を見誤り、無謀な戦争に突入した。
戦後は平和と繁栄を享受したが、日本が平和的であれば、平和は保てるとの楽観的思考も芽生えた。
経済復興を優先し、安保は米軍に依存する「軽武装路線」を敷いた吉田茂・元首相は1967年発刊の自著に、防衛で「他国の力にたよる段階は過ぎようとしている」と記した。

 半世紀以上を経て、日本はようやく、「自分の国は自分たちで守るとの当たり前の考え」(「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の報告書)に基づき、防衛政策を転換する。
「国防」は自衛隊だけで完結できない。
国民の理解と政治の指導力が欠かせない。(政治部 海谷道隆)






201224 自己責任主義際立つ日本 生きたいと思える国に

Category : 政治
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’20/12/24付北海道新聞朝刊6面各自核論

自己責任主義際立つ日本   京都大人文科学研究所准教授 藤原辰史
  生きたいと思える国に

 日本は、私たちが生きたいと心から思える国だろうか。

 こんな漠然とした問いを立てたくなったのはウェブに公開されている明治大学の鈴木賢志研究室の統計を閲覧したからである。
昨年の統計では、日本の国内総生産(GDP)は中国からダブルスコアをつけられ3位である事は知っていた。
しかし、一人当たりのGDPが世界179国中26位、格差をあらわすジニ係数は税金や社会保険料を差し引き、社会保障給付を加えた再分配後で、数字のある42カ国のちょうど真ん中、税引き後の貧困率(所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合)も39カ国中12位と高く、最低のアイスランドの3倍以上、という事実を私は理解していなかった。




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 日本が突出している数値をみよう(調査年は項目によって多少ばらつきがある)。
「暮らし向きの良い人は、経済的に苦しい友人を助けるべきだという人の割合)は32カ国中最も低く、「所得の格差を縮めるのは、政府の責任であると思う人の割合」も34カ国中29位。
さらに、「今、あなたの国で最も重要な問題は何だと思いますか」という質問に対し、「経済」と答えた国の1位はダントツで日本であり、58%、2位のチェコよりも15ポイント近く高い。
そして、結婚したパートナーで男性の方が所得が高い比率は88.3%で37カ国中1位であり、韓国とは19ポイント、中国とは27ポイント近く差をつけられている。

 まとめてみよう。
日本では、先進国の中で格差や貧困率が大きく、男女の経済格差は最大だが、政府が最優先すべき課題は経済問題であり、格差を是正するのは国でも富裕層でもなく、自分の努力だと国民が思っている。
菅首相の理念である「自助・公助・共助」で、自助が最初に掲げられている意味がよくわかる。




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 しかし、私たちが本当に生きたい国は、果たしてこんな国なのか。
コロナ禍の最前線で厳しい仕事に従事する看護師、清掃員、介護士、保育士たちは相変わらず賃金が低く抑えられたままだ。
日本政府は経済成長に邁進し、男女格差も経済格差も本腰を入れず、厳しい競争にさらされているうちに他者を救おうという気持ちも失い、苦境に陥ったらご自分で、という「経済政策」をとり続けた。
保健所も学校も文化施設も効率的でないと削り続け、そんな政府を批判する研究者の排除まで手を染めてしまったが、ここまで地金が出たホモ・エコノミクス(経済的人間)たちの政治では、コロナ禍に通用しないことがもうはっきりと見えた。
菅政権の支持率の急落は、その証左のひとつにすぎない。

 世界中の国が似たり寄ったりの自己責任主義を取ってきたが、コロナ禍がそれに否を突きつけた。
コロナ禍だけではない。
いつまで続くかわからない経済不況も、たびたび襲いかかる自然災害も、自己責任主義の弱点を毎回洗い出してきたではないか。




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 日本は世界の中でも突出して自己責任主義的国家であることは、この時期、最大の危機であると共に最大のチャンスにほかならない。
世界に先駆けて自己責任論を放棄し、富と苦しみを共有し分散できる経済政策を打ち出すチャンスに、最も近い位置に私たちは今立っているとも言えるからだ。



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201225 安倍氏不起訴 喚問に応じるのが筋だ

Category : 政治
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’20/12/25付北海道新聞朝刊7面社説

安倍氏不起訴 喚問に応じるのが筋だ

安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用補填問題で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載)などの容疑で告発された安倍氏を嫌疑不十分で不起訴とした。

一方、後援会代表の公設第一秘書を同法違反(同)の罪で略式起訴した。

安倍氏は昨年11月に問題が発覚して以降、国会で費用の穴埋めを重ねて否定してきた。

行政府のトップが国会で事実と異なる答弁を繰り返し、国権の最高機関である立法府の存在意義をおとしめた責任は極めて重い。




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検察の処分は軽過ぎると受け止めた国民は多いだろう。

安倍氏はきょう衆参両院の議院運営委員会に出席するが、通り一遍の説明では到底済まされない。

偽証した場合に罰則が科せられる証人喚問で野党の質問に答え、真相を明らかにするのが筋だ。

起訴状によると、秘書は後援会の2016〜19年分の収支報告書に夕食会費用の補填に絡む収入と支出の計約3022万円を記載しなかった。

特捜部は不起訴の理由について、安倍氏が不記載を認識していた証拠がないと説明する。

元特捜部検事の郷原信郎氏は、法令違反に問われる対象が報告書への記載義務のある会計責任者らに限定されない虚偽記入罪を適用すべきだと指摘している。




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こうした点も含めて、本当に捜査を尽くしたか疑問が残る。
秘書についても裁判が行われない略式起訴ではなく、裁判で真実に迫る審理をすべきではなかったか。

夕食会を巡る国会審議で、安倍氏が「明細書はない」などと事実と異なるとみられる答弁を少なくとも118回していたことが、衆院調査局の調べで分かっている。

安倍氏はきのう国会内で記者会見し「私が知らない中で行われたとはいえ、道義的責任を痛感する」と語った。

事の重大性に鑑みれば、資金の収支について自ら徹底調査するのが当然ではなかったか。

会見で述べた「首相の職務に専念していたため、夕食会の運営に関与していない」という言い訳は通用しない。




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桜を見る会に関しては、安倍氏の支持者のために私物化したと批判され、巨額の消費者被害を生んだジャパンライフの元会長が首相の推薦枠で招待された経緯もいまだに明らかになっていない。

安倍氏は、こうした疑惑も含めて真実を語らなければならない。



210412-201225朝刊7面社説安倍氏喚問に応じるのが筋



201212 「安倍派」復活 阻む「桜」

Category : 政治
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210315-201212付北海道新聞朝刊23面の記事

ガバメント 舞台裏を読む

「安倍派」復活 阻む「桜」

「辞めてすぐ(の復帰)は早いかな。来年、衆院選の前か後か、どちらかに(派閥に)帰りたい」

安倍晋三前首相は11月初旬、出身派閥の細田派(清和政策研究会)について余裕で周囲に語った。
祖父岸信介元首相の流れをくみ、父安倍晋太郎元外相が率いた派閥だ。
2度目の自民党総裁に就任する2012年に離脱したため、看板こそ細田派だが、自身が戻って領袖に就くのは既定路線でもあった。

9月16日の辞任の12日後、細田派の政治資金パーティーでは「まだ清和研の一員ではないが、もともとは出身だ」と冗舌に語った。
しかし11月下旬、「桜を見る会」前日の夕食会を巡る疑惑が再浮上し、空気は一変した。
「安倍さんが派閥に戻るのはしばらく先送りだ」。
細田派中堅は厳しい表情で話す。




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狙うは「キングメーカー」

長期政権の実績を背景に、98人の党最大派閥を率いて影響力を保つ。
安倍氏が思い浮かべていたのは、かつて党に君臨した「キングメーカー」の姿だった。
田中角栄氏、竹下登氏らは、首相退任後も、事実上その後の首相を決め、隠然たる力を示した。

実際、安倍氏は自身の後継を決める総裁選で、それまで「禅譲」を示唆していた岸田文雄氏の支援には回らず、菅義偉新首相の流れを決めた。
批判的だった政敵の石破茂氏を追い落とすことにも執着し、周囲に「できれば3位にしたい」と漏らした。
細田派の一部の票が2位の岸田氏に流れたとされる

辞任の理由となった持病の潰瘍性大腸炎は最近、新薬の効果で回復している。
党内からは「辞める必要はなかったのではないか。再々登板もあり得る」(ベテラン議員)との見方すら出ていた。
退任後に別の人物を挟んで首相に3度以上就任したのは、ともに安倍氏の同郷の伊藤博文と桂太郎しかいない。




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「桜を見る会」前日の夕食会を巡る問題は、昨年11月から国会を紛糾させてきた疑惑だった。
「東京都内のホテルで1人5千円の会費は安すぎる」。
野党側は、実際にかかった費用との差額を安倍氏側が補填していたのではないかと、繰り返し追求した。

安倍氏は「大多数がホテルの宿泊者という事情を踏まえ、ホテルが設定した価格だ」と説明。
補填はしておらず、明細書は作っていないと一貫して主張した。
野党議員からホテルに書面で確認するよう求められると「私がうそをついているというのなら、説明するのはそちら側だ」と色をなして反論した。




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1年後に発覚したのは、当時の野党の追求をなぞるような内容だった。
ホテル側が明細書を作っており、安倍氏側が費用の一部の900万円を補填していた疑いだ。
東京地検特捜部が、後援会代表の公設第1秘書らを任意で事情徴収したことも判明した。

明細書の存在が事実であれば、これまでの論拠は根底から崩れる。
国会で堂々と虚偽の答弁を繰り返していたことにもなる。
野党は「安倍氏が明細書の存在を知らなかった訳がない」と指摘し、安倍氏の国会招致を要求。
安倍氏は記者団に「その段階で事実と思われる事柄を答弁した」と釈明した。




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特捜部は政治資金規正法違反(不記載)の罪で第1秘書を略式起訴する方向で検討しているとみられ、安倍氏は自身の関与を否定する可能性がある。

ただ、自民ベテラン議員は「国会で事実と違うことを答弁してきた。何らかの説明は必要だ」と指摘。
安倍氏の実弟の岸信夫防衛相も「政治家であれば当然自分の行動には責任を持たなければいけないし、有権者に説明する責任がある」と強調した。




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求心力低下 政界に波紋

安倍氏の求心力低下は、政界にさまざまな波紋を広げる。
来年の総裁選をにらみ細田派は、下村博文政調会長や西村康稔経済再生担当相が出馬に意欲を見せ、稲田朋美元防衛相や萩生田光一文部科学相の名も挙がり、落ち着かない。
かつて権勢を振るった田中派や竹下派は、大きくなりすぎて結局分裂した。
細田派幹部は「安倍さんという『重し』がないと、派閥は割れるかもしれない」との懸念を漏らす。

再々登板のうわささえあった安倍氏の失墜は、現政権に打撃を与えつつも、短命との見方があった菅氏のライバルが消えることにもつながる。
永田町では「捜査は、首相が仕掛けたのではないか」(野党議員)という根拠のない陰謀論まで飛び交う。




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安倍氏は自粛モードに入った。
11月末にセミナーを開いた細田派中堅は「直前に安倍さんから『かえって迷惑かける』と欠席を伝えられた」と明かす。

07年までの第1次政権が失意の中に終わり、再起を果たした安倍氏は、負けず嫌いで「執念深い政治家」(周辺)だ。
66歳は政界では若いと言われる。

厳しい指摘が相次ぐ中、安倍氏は何を思うのか。
国会内で記者団の質問に答えた今月4日。
きびすを返した後さらに声を掛けられると「背中を向けた段階で、ぜひ、言わないでいただきたい」と言い返した。
笑みを浮かべていたものの、早口でまくしたてる姿にはいらだちがにじんでいた。

(吉田隆久)   




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201206 日中韓首脳会議 年内開催見送り

Category : 政治
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'20/12/06付北海道新聞朝刊2面の記事

日中韓首脳会議 年内開催見送り

日中韓3カ国による首脳会議は、年内開催が見送られる見通しとなった。
持ち回りの議長国を務める韓国は年内開催に意欲を示していたが、韓国人元徴用工訴訟をめぐる日本との協議で溝が埋まらず、調整は難航。
韓国政府は早期開催を目指して働きかけを続ける構えだが、展望は開けていない。




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韓国最高裁は2018年の判決で日本企業に元徴用工への賠償を命令。
これに当時の安倍政権が「国交正常化の基礎が崩れる」と猛反発。
韓国側が差し押さえた被告企業の資産を売却すれば「深刻な事態を招く」と警告してきた。

関係筋によると、韓国側は菅義偉首相の就任後、原告への賠償を韓国政府が肩代わりする案などを非公式に打診。
先月来日した朴智元・国家情報院長は菅首相に「日韓首脳共同宣言」を提案し、文在寅大統領との政治決着を促した。




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しかし、不信感を強める日本側は「まず韓国側が判決を修正するなど原状回復する必要がある」(政府関係者)との立場を譲らなかった。
共同宣言案についても「具体的な提案はなかった」(加藤勝信官房長官)と突き放した

対面での日韓首脳会談は、中国・成都で日中韓首脳会議に併せて行った昨年12月が最後。
新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり1年近く実現していない。



210225-201206 2面日中韓首脳会議年内開催見送り




200801 「敵基地攻撃」提言案了承  自民 事実上の保有を求める

Category : 政治
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'20/08/01付北海道新聞朝刊6面の記事

「敵基地攻撃」提言案了承
 自民 事実上の保有を求める


自民党は31日、国防部会と安全保障調査会の合同会議を開き、党ミサイル防衛検討チームがまとめた「敵基地攻撃能力」の保有を事実上求める提言案を了承した。

「相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力」との表現で、政府に新たな取り組みを求める。

8月上旬にも首相官邸に申し入れる。

幅広い方策が考えられる表現となったことで、政府の対応が焦点となる。




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提言案では、相手領域内でのミサイル防衛について「憲法の範囲内で、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考え方の下」と明記し、阻止能力に言及。

日本が「盾」、米国が「矛」を担う日米同盟の役割分担や、相手国を壊滅的に破壊する攻撃的兵器は持たないといった従来の政府方針を維持することも強調した。

検討チーム座長の小野寺五典元防衛相は会合後、「敵基地攻撃能力」の文言を使わなかった理由について記者団に「攻撃や反撃、敵基地の言葉が入ると、先制攻撃という印象が持たれる危険性がある」と説明した。(玉邑哲也)



201222-200801-6面敵基地攻撃提言案了承




200715 マスク外交で影響力 / 尖閣で執拗に活動  防衛白書 中国強く警戒

Category : 政治
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'20/07/15付北海道新聞朝刊2面の記事

マスク外交で影響力 / 尖閣で執拗に活動
 防衛白書 中国強く警戒


河野太郎防衛相は14日の閣議で、2020年版防衛白書を報告した。

新型コロナウィルスの感染拡大による影響の項目を新設し、各国に大量の医療物資を支援する「マスク外交」を展開する中国について「影響力の拡大を目指した国家間の戦略的競争を顕在化させ得る」とし「重大な関心を持って注視していく」と明記した。

また、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国の活動に関し「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続している」として、例年に比べ厳しい表現で批判した。

米中対立が長期化する中、「コロナ後」の新たな国際秩序で主導権確保を狙う中国の動きに強い警戒感を示した形。

河野氏は閣僚後の記者会見で「中国の意図は何なのかをしっかり把握していく必要がある」と述べた。




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白書は中国の「マスク外交」に関し「社会不安や混乱を契機に、偽情報の流布を含む宣伝工作なども指摘される」と強調。

尖閣諸島周辺の日本領海で5月、中国公船が日本漁船を追尾した問題も取り上げ、批判した。

尖閣を巡り「執拗に」との表現は初めて。

北朝鮮の軍事動向に関しては、引き続き「重大かつ差し迫った脅威」と言及。

19年5月以降に発射された3種類の新型短距離弾道ミサイルについて「固定燃料を使用して通常の弾道ミサイルよりも低空で飛翔」と分析し、「攻撃態様が複雑化しており、迎撃態勢への新たな課題となっている」と位置づけた。




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一方、6月に計画を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」については、導入を前提にした記述の後に河野氏らが計画停止を発表した際の文章を挿入し、代替策を国家安全保障会議(NSC)で議論すると記すにとどめた。

白書の締め切りの都合としている。

ロシアの動向では、北方領土の択捉、国後両島への地対艦ミサイル配備や四島周辺での軍事演習を継続している動きを説明。

中国との軍事連携の強化を注視するとした。

海上自衛隊を派遣している中東の情勢に関する項目も新たに設けた。




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白書では約50人の自衛隊員の声も紹介し、政府専用機の運用を担う航空自衛隊特別航空輸送隊(千歳市)の佐藤沙緒里一等空尉らが取り上げられた。 (仁科裕章)


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200709 「敵基地攻撃」巡り攻防 イージス断念受け衆院委

Category : 政治
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'20/07/09付北海道新聞朝刊2面の記事

「敵基地攻撃」巡り攻防 イージス断念受け衆院委
  野党、専守防衛の原則強調 防衛省「現憲法範囲で議論」


衆院安全保障委員会は8日、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画断念を受け、閉会中審査を開いた。

新たなミサイル防衛策として安倍政権内で浮上する敵基地攻撃能力を巡り、河野太郎防衛相が現行憲法の範囲内で保有の是非を検討する考えを示したのに対し、野党は専守防衛の原則から反対を主張。

地上イージスに関しては、与野党が計画の断念に至る一連の経緯を追求し、詳しい検証を求めた。




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政府が6月24日に秋田、山口両県への配備断念を決定して以降、国会審議は初めて。

敵基地攻撃能力について、2017年に地上イージス導入を決定した際の防衛相だった自民党の小野寺五典氏は保有論を主張。

「わが国を守り抜くためにも相手のミサイル基地をたたく能力を持つべきだ」と迫ったのに対し、河野氏は「現行憲法の範囲内で何が適切なのか。与党の意見も受け止めながら政府内で議論したい」と述べた。

野党からは立憲民主党の篠原豪氏が「敵基地攻撃で許されるのはミサイル本体で、発射台や基地の攻撃は違憲ではないか」と指摘。

河野氏は憲法上必要最小限度での敵基地攻撃は可能とするこれまでの政府見解を踏まえ「自衛の範囲に含まれる」とかわした。




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立憲の本多平直氏は、敵基地攻撃に必要な能力を質問した。

河野氏は「ミサイル位置を正確に把握し、防空用レーダーも無力化しなければいけない。制空権を確保した上で発射装置や施設を攻撃する。こうした一連の能力が必要」と説明した。

地上イージス配備計画の断念に至る経緯を巡っては、小野寺氏が「防衛省は精緻な分析をしていたのか。努力が足りなかったので、地元の皆さんに正確な説明をしていなかった。安全保障上大きな穴があく」と厳しく批判。

迎撃ミサイルのブースターを自衛隊演習場内などに確実に落とせない技術的問題を、突然公表した防衛省の対応に不信感を示した。




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河野氏は「地元の皆さまに本当にご迷惑をお掛けした」と改めて謝罪。

野党からも一連のプロセスの検証を求める意見が相次ぎ、応じる考えを示した。

9日には参院外交防衛委員会が閉会中審査を開く。

 (仁科裕章、田上工幸)




201121-200709 2面敵基地攻撃


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